物件情報を見ていると、「これは避けた方がいい」と言われる条件がいくつかあります。北向き、1階、築古。この3つは、その代表格です。
今回の部屋は、その3つが全部揃っています。 しかも駅から徒歩12分で、宅配ボックスもありません。
条件だけ見れば、たしかに不利です。でも、本当にそれだけでしょうか。
この部屋に住んだら、1日がどう流れるのか。「避けた方がいい」が本当かどうか、確かめてみます。
今回の部屋

- 間取り:1K(洋室6.5畳+キッチン3.0畳)
- 専有面積:約24.8㎡/約3.1m × 8.0m
- 向き:北向き(バルコニー側)
- 築年数:2003年・鉄骨造・3階建の1階
- 設備:ガスコンロ2口(上下収納付き)/ユニットバス/クローゼット/室内洗濯機置場/バルコニー/駐輪場無料
- 宅配ボックス:なし
- 家賃:95,000円(+管理費5,000円)
- 備考:ペット不可・楽器不可

周辺
- 下北沢駅(京王井の頭線) 徒歩12分
- 東北沢駅(小田急線) 徒歩10分
- スーパー(オオゼキ) 徒歩5分
- コンビニ(ファミリーマート) 徒歩4分
- カフェ(猿田彦珈琲) 徒歩8分
- 緑道(北沢川緑道) 徒歩3分
- 動物病院 徒歩6分
※ 間取り・写真・周辺情報はすべて架空のものです。
※AIで作成した間取りと部屋写真のため一部間違えている箇所もございますが、ご愛嬌ということで大目に見ていただけると幸いです☺️
まず、寸法を見る
約3.1m × 8.0m。かなり細長い部屋です。
玄関から入って、キッチン、その奥に洋室、いちばん奥にバルコニー。一本の廊下のような構造になっています。
洋室は6.5畳で、キッチンは独立して3畳。専有面積は24.8㎡と、前回見た恵比寿の1K(23㎡)より少し広い。
ただし幅は3.1m。壁の厚みを引くと、実際に使える幅は2.7m程度だと思います。家具は、縦に並べる前提になります。
朝:光が入らない朝
6:30。
北向きなので、朝日は入りません。 東向きの部屋のように、光で自然に目が覚めることはない。
私は普段、遮光カーテンを開けたままレースカーテンだけで寝ています。朝の光で起きたいからです。この部屋では、その手が使えません。
光目覚まし時計という手はあります。ただ正直に言うと、私にとってここは道具で補って済ませたい部分ではありません。 このあと詳しく書きます。
朝食を作る。キッチンは3畳で、ガスコンロは2口。写真を見ると上下に収納があり、作業スペースにも余裕があります。 ここは条件が悪い物件とは思えない充実ぶりです。
7:45、家を出る。1階なので、玄関を出たらすぐ外です。 エレベーターを待つ時間も、階段を降りる手間もありません。
駅までは徒歩12分。ただしこの物件、使える駅が2つあります。 下北沢(京王井の頭線)が12分、東北沢(小田急線)が10分。
行き先によって路線を選べるのは、地味にかなり便利です。 「駅徒歩12分」という数字だけ見ると遠く感じますが、2路線使えるなら評価は変わります。
昼:北向きを、確かめる
ここが今回の本題です。
北向きの部屋は「暗い」と言われます。たしかに直射日光はほとんど入りません。
でも、実際に暮らすことを考えると、北向きには他の向きにない特徴があります。
光が、一日中変わらない
東向きは朝だけ明るく、午後は暗い。南西向きは午後だけ明るく、朝は暗い。
北向きは一日中、同じくらいの明るさです。直射日光は入らないけれど、その代わり光のムラがない。
在宅で仕事をする人や、家で作業をする人にとって、これは実はメリットになります。時間帯によって明るさが変わらないので、照明の調整が要らない。 画面に日が差し込んで見えなくなることもありません。
夏が涼しい
直射日光が入らないということは、夏に部屋が焼かれないということです。
前回の南西向きの部屋では「西日で午後が暑い」と書きました。北向きには、それがありません。夏の冷房効率は、明確に有利です。
物件情報の「おすすめポイント」にも「北向きで夏は涼しく」と書かれていますが、これは営業文句というより事実だと思います。
床や家具が焼けない
直射日光は、床材も家具も色を変えます。本の背表紙も焼けます。
北向きなら、それがほぼ起きません。長く同じ家具を使いたい人には、地味に効く条件です。
ただし、洗濯物は乾きにくい
ここは正直に書きます。北向きのバルコニーは、洗濯物が乾きません。
特に冬と梅雨は厳しい。生乾きの匂いとの戦いになります。
そして湿気がこもりやすいのも北向きの弱点です。結露やカビには、他の向きより気を配る必要があります。
ここは、後で対策を書きます。
1階を、確かめる
1階も「避けた方がいい」と言われる条件です。こちらも確かめてみます。
1階が良いところ
- 荷物の出し入れが圧倒的に楽(引っ越し費用も安くなることがある)
- 階下に気を使わなくていい(足音・掃除機・洗濯機の時間)
- エレベーター待ちがない
- 駐輪場が使いやすい(この物件は駐輪場無料)
- 地震や停電のとき、外に出やすい
「階下を気にしなくていい」は、想像以上に大きいと思います。夜に洗濯機を回せる、掃除機をかけられる、物を落としても平気。生活の自由度がかなり上がります。
1階で気をつけること
- 外からの視線(この物件は植栽で遮られているとのこと)
- 防犯(窓の施錠、補助錠、洗濯物の干し方)
- 湿気(北向きと重なるので、ここは要注意)
- 虫が入りやすい
- 道路や通行人の音
この部屋はバルコニーの前が植栽になっているので、視線の問題はある程度解決されています。 ただし防犯は、住む人が対策する部分です。
築22年・鉄骨造を、確かめる
2003年築なので、築22年。そして構造は鉄骨造です。
前回までの2件は鉄筋コンクリート造(RC造)でした。ここは大きな違いです。
鉄骨造は、RC造より遮音性が劣ります。 隣や上の音が聞こえやすい可能性があります。
ただし1階なので、上の階の足音は聞こえても、自分が下に気を使う必要はないという非対称な状況になります。
築年数については、2003年築なら新耐震基準(1981年以降)を満たしています。 「築古=危ない」という話ではありません。
気にすべきは、設備の古さです。給湯器、エアコン、水回りの経年。ここは内見で実際に見て確かめるべき部分だと思います。
夜:帰宅から就寝まで
19:30、帰宅。
スーパー(オオゼキ)が徒歩5分、コンビニが徒歩4分。買い物には困りません。
夕食を作る。2口コンロと上下収納のあるキッチンは、この価格帯としてはかなり優秀です。作業スペースもあるので、まな板を出して普通に料理ができます。
洗濯機を回す。1階なので、時間を気にせず回せます。 これは前回までの2件にはなかった自由です。
21:00、くつろぐ。洋室は6.5畳あって、キッチンは別。前回の恵比寿より0.5畳広く、実質的にこの3件の中で一番広い居室です。
ただし幅2.7m前後の細長い部屋なので、ソファとベッドを両方置くと通路が一本になります。ここは前回と同じ制約です。
23:00、就寝。1階なので、外の音は上階より聞こえます。静かな環境が絶対条件の人は、内見の時間帯を変えて2回見た方がいいと思います。
休日はどうなるか
北沢川緑道が徒歩3分。 これがこの物件の隠れた強みだと思います。
1階に住んでいて、玄関を出たら3分で緑道。散歩やランニングの習慣がある人には、これ以上ない立地です。部屋の中の明るさより、外に出やすいことの方が、生活の質に効くことがあります。
猿田彦珈琲が徒歩8分。下北沢という街そのものが、部屋の外の居場所になります。
洗濯物は、北向きなので乾きにくい。休日にまとめて洗う生活だと、ここで詰まります。
家賃100,000円を、どう見るか
家賃95,000円+管理費5,000円で、月100,000円。
前回の恵比寿の1Kは、23㎡で月145,000円でした。今回は24.8㎡で月100,000円。
広いのに、45,000円安い。 年間で54万円の差です。
この差はどこから来ているか。整理すると、こうなります。
- 北向き(南西向きより安い)
- 1階(上階より安い)
- 築22年(築7年より安い)
- 鉄骨造(RC造より安い)
- 駅徒歩12分(6分より安い)
- 宅配ボックスなし、オートロックなし
つまりこの45,000円の差は、「不利な条件を受け入れた分」の値引きです。
ここで考えたいのは、その条件が、自分にとって本当に不利かどうかです。
夜型で、朝日が要らない人。夏の暑さに弱い人。階下に気を使いたくない人。荷物の多い人。散歩が好きな人。そういう人にとって、この条件はむしろ好都合です。
その人は、「他の人が嫌がる条件」の分だけ、年54万円を受け取っていることになります。
家賃の差と同じくらい、引っ越し代も頼み方で変わります。

想像して見えてきたこと
この部屋が向いている人
- 夜型の人(朝日に起こされない)
- 夏の暑さに弱い人(北向きは涼しい)
- 家で作業をする人(一日中、光が安定している)
- 階下に気を使いたくない人(1階)
- 荷物が多い人、自転車を使う人
- 散歩やランニングをする人(緑道3分)
- 家賃を抑えたい人
この部屋で詰まりそうな人
- 朝の光で起きたい人
- 洗濯物を外で乾かしたい人(北向きはかなり不利)
- 湿気やカビが気になる人(北向き+1階)
- 防犯を重視する人(1階・オートロックなし)
- 音に敏感な人(鉄骨造・1階)
- 宅配が多い人(宅配ボックスなし)
整理すると、この部屋の弱点は「光」ではなく「湿気」と「防犯」だと思います。北向きの暗さは慣れますが、湿気と防犯は対策が要ります。
だとすると、何を置けばいいか
① 乾燥機付き洗濯機、または衣類乾燥除湿機
北向きのバルコニーは当てになりません。ここは最優先で用意したい。
② 除湿対策
北向き+1階は、湿気が溜まりやすい組み合わせです。除湿機か、少なくとも除湿剤とサーキュレーターは要ります。
③ 防犯グッズ
窓の補助錠、防犯フィルム、センサーライト。1階でオートロックがないので、ここは省略できません。
④ 明るめの照明
一日中、自然光は控えめです。天井照明だけでなく、手元や間接照明があると快適だと思います。
⑤ 光目覚まし時計
朝日で起きられないので、光を道具で補う選択肢があります。
⑥ 宅配ボックスの代わりを考える
置き配指定、コンビニ受け取り、宅配ロッカー。1階なので在宅なら受け取りは楽ですが、不在時の対策は決めておきたい。
ちなみに、私ならこうする
先に結論を書きます。私は、この部屋は選びません。
ここまで北向きの良さを書いてきましたし、それは本心です。夏は涼しいし、光は安定しているし、家具も焼けない。条件としては、悪くない。
それでも選ばないのは、私が朝の光で起きたい人間だからです。遮光カーテンを開けて寝るくらい、そこを重視している。光目覚まし時計で代用する手はありますが、私にとってはそこが妥協したくない一点なんです。
ただ、北向き以外の条件は、私にとってかなり好条件です。 順に書きます。
駐輪場は、私にとって必須条件
私は物件を借りるとき、必ず駐輪場つきを選びます。
理由はいくつかあって、まず歩く時間がもったいない。 徒歩12分の駅も、自転車なら数分です。
そして大きいのが、少し遠い場所にも気軽に行けるようになること。 徒歩だと「行くのが面倒だな」と思う距離でも、自転車ならピューっと行けてしまう。結果として外に出るのが億劫になりにくい。
買い物も楽になります。カゴがあれば、重いものもまとめて運べる。徒歩5分のスーパーでも、自転車があるかどうかで買い方が変わります。
この物件は駐輪場が無料です。ここは私の評価では、かなりの加点になります。
1階は、むしろ好き
私はダンスや筋トレが趣味なので、家で体を動かします。
上の階に住んでいると、これがかなり気になります。跳ねる音、床に置く音、器具の振動。1階なら、その心配がありません。 部屋で運動する人にとって、1階は明確なメリットです。
そして実際に1階に住んでみて、思っていた以上にありがたかったのが、この2つの場面です。
ひとつはゴミ出し。 朝、ゴミ袋を持って階段やエレベーターを使うのは、地味に面倒です。1階なら数歩で終わります。
もうひとつは忘れ物を取りに戻るとき。 出かけた直後に「あ、忘れた」と気づいたとき、1階なら数十秒で戻れます。上の階だと、この一往復がかなりのストレスになります。
どちらも小さなことですが、毎日か、それに近い頻度で起きることです。こういう積み重ねが、暮らしやすさになると思っています。
足りないものは、自分で付ける
この部屋には宅配ボックスがありません。オートロックもありません。
でも、設備が足りないことは、そのまま「詰み」ではありません。 自分で足せるものは、けっこうあります。
宅配ボックスは、個人用のものをドアの前に置けば済みます。 折りたたみ式のものも売っています。1階なら、荷物の出し入れも楽です。
そして私は、インターホンとウォシュレットは必ず設置します。
どちらも「あったらいいな」で終わらせがちですが、思っているほど高くありません。 毎日使うものなので、費用対効果はかなり高い部類だと思います。
インターホンについては、大家さんに相談すると取り付けてくれることもあります。 言ってみる価値はあります。設備として付けてもらえれば、自分の負担はゼロです。
付いていないものは、ある程度自分で取り付けたり、DIYしてしまうのも手です。
ただし賃貸なので、最後に元通りにできる範囲で。 ここは必ず守ります。壁に穴を開けない、貼って剥がせるものを選ぶ、外した部品は取っておく。退去時に揉めない形にしておくのが前提です。
「設備が足りないから諦める」の前に、「自分で足せないか」を確かめる。 それだけで、選べる物件の幅がかなり広がります。
この部屋こそ、乾燥機の価値が最大になる
前回の南西向きの部屋では、「午後によく乾くから、乾燥機の必要度は下がるかもしれない」と書きました。それでも私は付けると。
この部屋では、話が変わります。北向きで乾かないので、乾燥機は「あると便利」ではなく「ないと詰む」に近い。
そして1階なので、洗濯機を夜でも回せます。 階下に気を使わなくていいというのは、乾燥機付き洗濯機との相性がとてもいい。帰宅後に回して、寝る前には乾いている。
服をベース4着ほどで回す暮らし方は、この部屋でも問題なく成立します。むしろ外干しを完全に捨てられるので、やりやすいかもしれません。
床を空けることが、湿気対策にもなる
私はベッドを置かず、布団とすのこで寝ています。この部屋では、それが湿気対策としても効きます。
北向きの1階は、床に近いところに湿気が溜まります。布団を敷きっぱなしにすると、下がカビます。毎日畳んで、床を空ける。部屋が広く使えて、湿気も防げる。
ロボット掃除機のために床に物を置かない習慣も、空気が動きやすくなるという意味で湿気に効きます。 家具は脚付き、物は吊るす。いつもの方針が、この部屋ではさらに効きます。
防犯は、ケチらない
私は基本的に「物を増やさない」考え方ですが、ここは例外です。
1階でオートロックなし。窓の補助錠と防犯フィルムは付けます。数千円で済む話で、これを削る理由がありません。
洗濯物も外に干さないので、結果的に「誰が住んでいるか分かりにくい」という副次的な効果もあります。乾燥機は、防犯の面でも合理的です。
食事は、いつも通り
このキッチンは3畳あって、2口コンロ、上下収納付き。この3件の中で一番料理しやすい設計です。
それでも私は、たぶん自炊を増やしません。判断基準が「作れるかどうか」ではなく「洗い物が発生するかどうか」だからです。
ただ、パスタや鍋のような鍋ひとつで完結する料理は作ると思います。カット野菜と冷凍の肉を入れて煮るだけなら、包丁もまな板も要りません。作業スペースが広い分、それすら楽になります。
結論:北向きさえなければ、私は住みたい
整理すると、私の評価はこうなります。
- 駐輪場無料:大きな加点
- 1階:加点(運動できる、ゴミ出しと忘れ物が楽)
- キッチンが広い:加点
- 緑道が徒歩3分:加点
- 宅配ボックスなし・インターホンなし:自分で解決できるので減点にならない
- 家賃10万:この内容なら妥当
- 北向き:ここだけが、私には致命的
ほとんどの条件は好みか、対策可能です。私が唯一どうにもできないのが、光でした。
逆に言えば、朝の光にこだわらない人にとって、この部屋はかなりの掘り出し物だと思います。下北沢で、この広さで、月10万円。「北向きが平気」というだけで、年間54万円が浮く。
そしてこの街なら、部屋にこもらなくても、外に出れば楽しい場所がいくらでもあります。下北沢を歩き回るのが好きな人には、その意味でも合っていると思います。
まとめ
- 北向きは「暗い」が、光が一日中安定していて、夏は涼しく、家具が焼けない
- 北向きの本当の弱点は暗さではなく、洗濯物と湿気
- 1階は階下に気を使わなくていいのが最大のメリット。防犯と湿気は対策が要る
- 鉄骨造は遮音がRCより弱い。ただし2003年築なら耐震基準は満たしている
- 「駅徒歩12分」も、2路線使えるなら評価は変わる
- 家賃の差45,000円は、不利な条件を受け入れた分の値引き
「北向き・1階・築古は避けた方がいい」と、よく言われます。
でも確かめてみると、それが不利かどうかは、住む人の生活によって変わります。 夜型で、暑がりで、階下を気にせず暮らしたい人にとっては、この部屋はむしろ条件がいい。
そして、その人は他の人が嫌がった分だけ、年間54万円を受け取れます。
物件を探すときは、条件の良し悪しを一般論で判断せず、「その条件は、自分にとって不利か」を一度確かめてみてください。
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