「1LDKで二人暮らしは狭いのか」。引っ越しを考えているふたりが、たぶん一度は検索する問いだと思います。答えは「広さ次第」ではなく、「間取りの読み方次第」です。
今回は、中野駅徒歩8分、最上階・角部屋の1LDK(40.2㎡・家賃165,000円)を題材にしました。このブログではこれまで一人暮らしの部屋ばかり見てきたので、今回は二人で住む前提で間取り図と写真を読み、朝から夜までを想像してみます。
※この物件は架空です。間取り図・写真・周辺情報はすべて創作で、実在の物件とは関係ありません。
※AIで作成した間取りと部屋写真のため一部間違えている箇所もございますが、ご愛嬌ということで大目に見ていただけると幸いです☺️

物件の条件

| 家賃 | 165,000円(管理費 8,000円) |
| 間取り | 1LDK(LDK 10.0帖・洋室 6.0帖) |
| 専有面積 | 40.2㎡ |
| 階数 | 5階建の5階(最上階・角部屋) |
| 向き | 南東(南・東の2面採光) |
| 築年数・構造 | 築8年・鉄筋コンクリート造 |
| 最寄駅 | JR中央線・東京メトロ東西線「中野」駅 徒歩8分 |
| 設備 | 対面カウンターキッチン(2口コンロ)・独立洗面台・浴室乾燥機・温水洗浄便座・TVモニター付インターホン・オートロック・宅配ボックス・エレベーター・エアコン2台(LDK・洋室)・駐輪場(無料) |
| 契約条件 | 敷金1ヶ月・礼金1ヶ月・更新料1ヶ月・二人入居可・ペット不可 |
周辺は、スーパーが徒歩4分、コンビニとドラッグストアが徒歩3分、カフェが6分、公園が4分、図書館が10分、内科クリニックが5分。駅までは商店街と住宅街が続く平坦な道で、大きな坂はありません。
数字だけ見ると、二人で住むには十分そうです。ただ、「40㎡」のうちどこが「二人で使える面積」なのかは、間取り図を読まないと分かりません。
間取り図を読む
廊下が1.5mしかない
玄関を入ると、廊下は約1.5m。その先はもうLDKです。
40㎡の部屋で廊下がほぼない、というのは良い設計だと思います。廊下は「歩くためだけの面積」で、そこにも家賃を払っているようなもの。短いほど、同じ面積でも部屋が広くなります。
弱点は、玄関を開けるとLDKが丸見えになること。来客や宅配のたびに、部屋の中が見えます。ただ、この物件には宅配ボックスがあるので、玄関で荷物を受け取る回数そのものが減ります。丸見えの弱点は、設備で半分くらい相殺されていると読みました。
ただ、廊下が短いことの代償は、もう一つあります。
トイレとリビングの間に、ドアが1枚しかない
二人暮らしで私が気にするのが、トイレの音です。極力聞かれたくないので、トイレはリビングや寝室からできるだけ離れていて、最低でもドアを1枚挟んだ奥にあってほしい。
この間取りを見ると、トイレのドアは廊下に開き、その廊下はドアなしでLDKにつながっています。つまり、LDKとトイレの間にあるのはトイレのドア1枚だけ。ソファを南の窓側に置けば距離は6mくらい取れますが、音は距離より扉の枚数で決まります。
寝室からは離れていて、洋室の引き戸も挟むので問題ありません。問題はLDKです。廊下を1.5mに削った設計のしわ寄せが、ここに出ています。
後付けの対策はあります。音を消す擬音装置は数千円で付けられますし、換気扇を回す、音楽をかける、でもある程度は隠せます。ただ「気にしなくていい間取り」と「対策すれば気にならない間取り」は別物で、私はここを減点として見ます。
LDK10帖の「使える広さ」は7帖くらい
LDKは10帖、約16㎡。ただし、この部屋は対面カウンターキッチンが部屋の中に置かれています。
間取り図を見ると、キッチン本体と、その裏の作業通路、冷蔵庫置場で、LDKの北側3帖ぶんくらいを使っています。つまり、リビング・ダイニングとして家具を置けるのは、残りの7帖前後です。
ここが、二人暮らしの1LDKで最初にぶつかる判断だと思います。7帖に、ソファとダイニングテーブルの両方は入りません。入れると通路がなくなります。「どちらを置くか」を先に決めないと、家具を買ってから困る間取りです。
洋室6帖は、壁が少ない
洋室は、東に腰窓、南にバルコニーへ出る掃き出し窓、北にクローゼット、西にLDKとの引き戸。四方すべてに「何か」があって、ベッドを寄せられる壁がほとんどありません。
ベッドを置けるのは、実質、東の腰窓の下か、クローゼットの前を避けた西寄りの位置。ダブルベッド(幅140cm)を置くと、残りは人ひとりが通れる通路だけになります。
一方で、東と南の2面から光が入る寝室というのは、かなり贅沢です。朝日が入る寝室で目を覚ませる。私にとってはこれが一番の魅力で、逆に「朝はぎりぎりまで寝ていたい人」には弱点になります。

対面キッチンは、二人で立つと分かる
2口コンロとシンクが、カウンター越しにリビングを向いています。背面には冷蔵庫置場。
対面キッチンの良さは、料理をしながらリビング側の人と話せること。一人暮らしでは「壁に向かって料理するか、部屋に向かって料理するか」の違いでしかありませんが、二人だとこの差は大きい。
気になるのは作業通路の幅です。間取り図を見る限り、大人二人が並んで立つには少し窮屈で、「一人が作り、一人がカウンター側で手伝う」という使い方になりそうです。あとは、対面式はにおいと油はねがリビングに広がります。写真では換気扇が付いているので、油はねガードを足せば十分だと思います。

水回りは十分、収納は足りない
独立洗面台、洗濯機置場、1216サイズの浴室に浴室乾燥機。二人分の洗濯物を室内で乾かせるので、バルコニーに干さなくていい。最上階で風が強い日でも関係ない、という意味で、この物件の浴室乾燥機は「あると便利」ではなく「あって当然」の設備だと思います。
一方で、収納はクローゼット1つと下足入だけ。二人分の服、季節家電、掃除用具、スーツケース。この部屋でいちばん足りないのは、面積ではなく収納です。
この部屋で二人が暮らす1日を想像してみた
朝:東の窓で先に起きるのはどちらか
6時台、洋室の東の腰窓から朝日が入ります。遮光カーテンを閉めずに寝る私なら、目覚ましなしで起きられる部屋です。
ただ、二人暮らしだと、ここに1LDKの最初の制約が出ます。同じ寝室、同じ窓、同じ時間に光が当たる。片方が朝型で、片方が夜型だと、夜型の人は毎朝、相手と同じ時間に光で起こされることになります。
ワンルームなら「一人の問題」だった向きの話が、二人だと「起きる時間を分けられない」という問題に変わる。1LDKで二人暮らしを考えるとき、私が最初に確かめたいのはここです。
朝食は、対面キッチンの前に置いたハイテーブルで。私はこの部屋にダイニングテーブルを置かない前提なので(理由は後で書きます)、カウンター越しに一人が作り、一人がその前で食べる、という動線になります。
昼:在宅勤務が重なった日
どちらか一人が在宅なら、LDKのテーブルで問題なく仕事ができます。最上階の南東向きなので、昼間は照明なしで手元が明るい。
問題は、二人とも在宅で、二人ともオンライン会議が重なった日。逃げ場は洋室しかなく、洋室にはベッドと通路しかありません。しかも引き戸は、開きドアより音が漏れます。
1LDKの弱点は、面積ではなくて「ドアを閉められる部屋が1つしかないこと」だと思います。在宅勤務が多い二人なら、40㎡の1LDKより、35㎡の2Kの方が楽かもしれません。
私なら、会議が重なった日は片方が徒歩6分のカフェ、またはコワーキングスペースに行きます。家はくつろぐ場所と割り切っているので、家の中に仕事の逃げ場を作るより、外に出る方が早い。
夕方:駅から平坦8分、帰り道にスーパー
中野駅から商店街と住宅街を通って徒歩8分、坂なし。スーパーまで徒歩4分、コンビニとドラッグストアが3分。帰り道に買い物をして帰る、という生活が成り立ちます。
駐輪場が無料なのも大きい。徒歩10分の図書館も、自転車なら3分です。私は「駐輪場がない物件は選ばない」と決めているのですが、理由は歩く時間がもったいないからだけではなく、自転車があると外出が億劫にならないからです。
重いものは通販に任せます。宅配ボックスがあるので、二人とも仕事で不在の日中に届いても困りません。
夜:一人が先に寝るとき
夕食は対面キッチンで。一人が作り、もう一人はカウンター側で洗い物を手伝うか、話し相手になる。対面キッチンがいちばん活きる時間帯です。
問題は、寝る時間がずれるとき。先に寝る人は洋室、起きている人はLDK。引き戸1枚では、テレビの音も、キッチンの光も、けっこう漏れます。ここもまた、「二人の生活リズムが揃っているか」に戻ってきます。
休日:最上階のバルコニー
バルコニーは南面の全幅で、奥行1.2m。椅子を1脚置いて座れる奥行きです。5階建の最上階で目の前に建物がなく、晴れた日は新宿方面の高層ビルが見えます。
一方で、最上階は夏に暑い。屋上の熱が天井から降りてくるので、同じ建物の下の階より2〜3度は違うと思っておいた方がいい。エアコンがLDKと洋室に1台ずつ付いているのは、この物件では「贅沢」ではなく「必要」です。

家賃173,000円を二人で割ると
家賃165,000円+管理費8,000円で、月173,000円。更新料が1ヶ月ぶんなので、24ヶ月で割ると月あたり約6,900円。実質、月18万円の部屋です。
二人で割ると、一人あたり約9万円。
以前書いた6畳ワンルーム(家賃90,000円)と、一人あたりの金額がほぼ同じです。同じ9万円で、6畳の部屋を一人で借りるか、40㎡の最上階角部屋を二人で借りるか。家賃の面では、二人暮らしはかなり合理的です。
ただし、初期費用は別です。敷金1ヶ月・礼金1ヶ月に、仲介手数料と前家賃を足すと、入居時にだいたい家賃の4〜5ヶ月分、70〜85万円くらい。仲介手数料を0.5ヶ月にしている業者を選べば、ここから8万円ほど下がります。
初期費用と一緒に動くのが引っ越し代で、こちらは荷物の量で桁が変わります。

そしてもうひとつ。二人暮らしが終わったとき、この家賃を一人で払い続けるのは難しい。「一人あたりの家賃が安い」は、二人でいる前提が崩れると一気に重くなる、という裏返しでもあります。
家賃の中身(立地代と面積代の分け方)は、こちらの記事で書きました。

この間取りで家具を選ぶなら
寝室:ベッドは幅より「高さ」で選ぶ
壁が少ない洋室で、ベッドの置き場所は東の腰窓の下がいちばん現実的です。腰窓の下端は、床から90cmくらいが標準。ヘッドボードの高いベッドを置くと窓にかぶるので、ヘッドボードなし、または低いベッドを選ぶことになります。
サイズはダブル(幅140cm)まで。クイーン(160cm)を入れると片側が壁付けになり、壁側の人は毎回、相手をまたいで出入りすることになります。
LDK:ダイニングテーブルをやめて、カウンターの前にハイテーブル
使える7帖に、二人掛けソファ(幅160cm)とダイニングテーブル(幅120cm)の両方を置くと、通路がなくなります。
よく挙がる選択肢は2つ。ダイニングテーブルだけにして、食事も作業もそこでする。あるいは「ソファダイニング」といって、低めのテーブルと座面の低いソファを1セットにして、食事とくつろぎを兼ねる。
私はどちらも選ばず、普通のソファと低いテーブルを置きます。家はあくまでくつろぐ場所、というのが私のコンセプトなので、くつろげることを優先します。
そのうえで、対面キッチンのカウンターに沿って、横長で高さのあるバーカウンターのような机と、高さのある椅子を置きます。食事はここ。作業もここ。奥行き40cmほどの細長い机なので、ダイニングテーブルの半分以下の床面積で済み、ソファと両立します。キッチンと向かい合う位置なので、作る人と食べる人が対面になり、対面キッチンの使い方としても合っています。
本格的に仕事をしたいなら、カフェやコワーキングに行けばいい。低いテーブルでも作業はできる。この物件なら家の中にわざわざ「仕事用の場所」を作らない、というのが私の考えです。
収納:クローゼット1つで足りない分は「吊るす」
収納が足りない部屋で、私が絶対にやらないのは、床に物を置くことです。床に置くと掃除が止まり、部屋が狭くなり、片づけが「工程」になります。
足りない分は、ハンガーラックや壁面の吊るす収納で補います。賃貸なので、原状回復できる範囲で。突っ張り式のラックなら穴を開けずに済みます。
ただ本音を言うと、物を増やす前に、二人で「持たないもの」を決める方が早いです。
キッチン:油はねガードと、「誰の食器」を決めない
対面キッチンなので、リビング側に油が飛ぶのを防ぐガードは最初に付けます。
食器は、二人になると「ペアでそろえる」発想になりがちですが、私はその概念そのものをなくします。使い勝手のいい食器を、必要な分だけ買い足す。誰の食器かは決めない。全部みんなのもの。もちろん、その中に自分だけのお気に入りがあるのはいい。ペアでそろえると、片方が割れたときに「そろえ直す」という工程が生まれます。収納が1つしかないこの部屋では、数を増やさない仕組みの方が効きます。
私ならこの物件をどう判断するか
まず、私が物件に求める条件は全部そろっています。駐輪場、TVモニター付インターホン、温水洗浄便座、宅配ボックス。インターホンと便座と宅配ボックスは、なければ自分で付けることにしているのですが、この部屋は最初から付いていて、追加の手間がゼロです。
向きも理想的です。寝室が東向きで、朝日で起きられる。南のLDKは日中ずっと明るい。
ただ、私は1階が好きです。ゴミ出しと、忘れ物を取りに戻るときに、階数の差は毎回効いてきます。それと、私は家で運動やダンスをするので、下の階に人がいる最上階は、1階より気をつかう部屋です。これは私の事情なので、読んでいる人には当てはまらないかもしれません。最上階の夏の暑さも、覚悟がいります。そして、トイレとLDKの間にドアが1枚しかないのは、二人暮らしでは私にとって減点です。
そのうえで、二人暮らしの1LDKとして見たときの結論は、こうです。
1LDKで二人暮らしが狭いかどうかは、面積ではなく、二人の生活リズムが揃っているかで決まります。
起きる時間、寝る時間、在宅勤務の有無。この3つが揃っている二人なら、40㎡の1LDKは十分に広い。揃っていないなら、同じ家賃で面積を削ってでも、ドアを閉められる部屋が2つある間取りを選んだ方が、長く続くと思います。

まとめ
- 40㎡の1LDKでも、対面キッチンが場所を取るので、リビングとして使えるのは7帖前後
- 洋室6帖は壁が少なく、ベッドはダブルまで。低いベッドを東の窓の下に
- トイレとLDKの間はドア1枚だけ。短い廊下の代償で、二人暮らしでは減点
- ダイニングテーブルは置かない。ソファ+低いテーブルと、キッチンカウンター前のハイテーブルに分ける
- 家賃は二人で割ると一人9万円。ただし初期費用と「一人になったとき」は別の話
- 1LDKの向き不向きは、面積より生活リズムが揃っているかで決まる
一人暮らしの部屋を同じやり方で読んだ記事は、こちらです。



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